忘れてた友達は当然イライラしてた。
だからワケを話してやると、どうして俺を呼ばないんだ!ってまた怒ってた。
言葉を濁しながら試験の用を済ませて、夕方早々に帰宅した。
帰りの電車でさっきの女子高生からメールがあった。
お礼とワイシャツの代金をどうしましょうかって。
そんなもんは別にどうでも良いよって返事しておいた。
それより学校の事を聞いてみた。こんな俺でも役に立つような事はあるよって。
でも何も学校の事には触れず、いつか返しますとのメールだけが返ってきた。
まぁ~そんなもんだ。
それからしばらくして、すっかり忘れかけてたある日の夜、その子からメールがきた。
「アタシもうダメ。どうして良いのか分かりません。」的なメール。
俺に質問もしてないし、どう答えて良いのやら。
とりあえず「どうしたの?」的なメールを返すわな。
そしたらブワァーっとイジメの話をメールしてきた。
彼女は高校2年生で、イジメは2年生になってから。
多分キッカケは、学校でも人気のある男の子に告られて、断ったのがキッカケ。
断った次の日から女の子にシカトされ、イジメがスタートしたって。
廊下を歩いていても後ろからいきなり背中を殴られたり、上履き捨てられたり。
この前は帰りにマンションの近くで待ち伏せされて、3人の女の子にワイシャツを破かれたらしい。
逃げるように戻ったけど、家に帰れなくて泣いてたんだって。
今日もイジメられて、後ろの髪の毛をバサバサと切られたって言ってた。
これはヘビー過ぎる。
アレコレと彼女とメールしてて、俺は決心をした。
今までの俺は誰かに手を差し伸べるような言動をしてきた事も無い。
目の前でイザコザがあったら、見て見ぬフリをして逃げ出してたし。
もうそんな自分に嫌気もさしてた頃だから、自分の為にも彼女を助ける!そう決めた。
こんな俺でも一応法学部の学生。
まだ2年だから何にも分からんけど、少しは役に立つかもしれない。
彼女に「本気で今の状況から抜け出したいか?」と聞いた。
学校で昔みたいに笑ったりできなくなっても、それでも良いのか?って聞いた。
彼女は「それでもイイ、もう全部ぶち壊したい」って言ってきた。
次の日の朝、彼女と待ち合わせをして、俺は一緒に学校へ行った。
本当は親とかに相談すべきなんだけど、彼女が嫌がったから仕方がない。
学校へ向かう途中、彼女はやけにオドオドしてた。
初めて会った時と違って、ホント辻ちゃんみたいな可愛い女の子。俺が不釣り合いなぐらい。
すれ違う女子高生の視線と彼女の指摘で、イジメてるグループも目撃した。
俺はその子たちをジッと見つめて目を離さなかった。
彼女達の眼はホントにイヤな目だった。
彼女を虫けらのような見下す目で見ていて、今まで見た事も無いぐらい下衆な目つき。
その目を見ていて、俺は本気で彼女たちを潰そうって思った。
彼女を連れてそのまま職員室に入って行った。
まず彼女は担任の所へ俺を連れて行った。コイツだけじゃ話にならない。
俺は担任にイジメに関する話をしたいから、校長先生も呼んでくれと言った。
学年主任で良いですか?とアホな事を言いやがったから、再度大きな声で言ってやった。
その声で職員室は一気に空気が変わった。
俺と彼女はそのまま近くにある小さな部屋に通された。
現れたのは担任と学年主任。
俺は録音ボタンを押して机の上に置いた。
「校長先生を呼んでくれと2回も言ったのに、なぜ学年主任の先生がくるんですか?」
「ただいま校長は所用で手が離せないんです。私が責任を持って対処しますので」
「はぁ~。学校内のイジメよりも大事な用事があって、こちらには来れないと?」
「そういうわけではありません。私が責任を持って対処しますので、安心して下さい」
このままじゃラチもあかないので、俺は自己紹介をして彼女のイジメを話し始めた。
目の前に録音機があるから、先生たちはシドロモドロに答えるばかり。
「彼女は両親に心配をかけたくないんです。だから両親には言わないで下さい」
「はい、それはもう・・・はい。」
「それでこれから彼女はどうなるんでしょうか?」
「私達が責任を持ってイジメを根絶致します」
「学校外でも?ネットとかでも?」
「あ・・・・はい、できる限りの事はします。生徒たちにもそのように教育していく方向で・・・」
話が終わって先生二人を引き連れ、俺達は保健室へ向かった。
そこで彼女の体に付いているアザを、保健の先生に確認してもらった。
保健の先生はビビったらしく、キョドり始めるし、それを聞いた先生たちも本気で焦り始めた。
「これで分かりますよね?完全にこれは犯罪行為ですから、警察に被害届も出せるんです」
つづく
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