周りに人はいなかったが、誰かに見られると少々困る。
とりあえず座らせて理由を聞きながら宥めた。
シクシクと泣くまでに落ち着いた七瀬から、彼氏と喧嘩して別れた話を聞かされた。
だから受付の時も変だったのかとその時理解できた。
喧嘩の原因は彼氏の浮気だった。
それも普通の浮気ではなく、親友だと思ってた女友達との浮気っていう最悪のパターン。
しかもその浮気は3年ぐらい続いてたらしく、その間も3人で会ったりしてたと言ってた。
その彼氏からさきほど連絡があり、また喧嘩になったという。
電話を一方的に切ると今度は親友だった浮気相手から電話がきて、泣きながら謝ってきたが最後の方には別れてくれとか言われたらしい。
同僚の幸せそうな結婚式を見てきた直後だったから、ショックも激しかったんだと思う。
ずっと我慢してきたけど俺の顔を見たら一気に気が緩んで泣いちゃったみたいです。
話を聞いてあげたかったが、3次会が終わる時間が迫ってた。
この後の予定を聞き、何も無いというので、一緒に呑みに行こうと誘った。
同期達とよく行ってた会社の最寄り駅にある個室の居酒屋に行こうと約束し、周りの目を気にして互いにバラバラで向かう事にした。
どうせみんな住んでる地域が似た方向だったから、途中で何とかバックレようねって。
先輩や上司達がまだ飲みに行くと言ってたが、数日前に風邪をひいてた事を理由に「お先に失礼します」と体良く帰る事に成功した。
七瀬を含む派遣社員たちや部長さん達と一緒に帰り、途中で降りてから居酒屋へ向かった。
店に着く直前に気が付いたが、まだ俺は七瀬の連絡先を聞いて無い。
店に入ってもまだ来て無かったから、店の前でしばし待つ事にした。
待つ事30分、七瀬は周りを気にしながらコソコソとした雰囲気でやってきた。
どうやら同僚たちが近所の店に集まってるらしい。
無事合流できたので、酒をゆっくり飲みながら話を聞いた。
彼氏と親友は七瀬が引き合わせたみたいです。
いつの間にか浮気し始め、途中からは親友の方が本命になり始めてたっぽい。
早い話が寝取られちゃったってわけです。
いるんですねぇ、友達の彼氏とか奪っちゃって、数年間シレーっとしてる人間が。
本心から言ってやりましたよ。
そんな友達は友達じゃない、最低の人間だから縁を切った方が良い、とかなんとか。
彼氏へは・・・・浮気は肯定しないが、人間のクズとまでは言えなかった。
女友達が元凶だと思ったんで。
聞いてて俺までヒートアップしてきて、一緒になって文句を言ってました。
七瀬は現実逃避するかのように酒を仰ぐから、見る見るうちに酔っ払ってく。
美人が酔ってくると、妖艶さが増して見てて楽しいもんです。
七瀬は1人暮らししてまして、その店から歩いて6分7分のマンションに住んでます。
いざとなったら送り届ければ良いかって思い、好きなように飲ませてやりました。
0時過ぎになると、テーブルに片腕を伸ばしてダレた感じで飲んでた七瀬。
目は虚ろだったし、ちょっとぶっちゃけ話が多くなってきてた。
俺が知らない派遣社員のセックス事情や、彼氏との数年間に渡るセックスへの不満。
どちらもヤバ過ぎるぐらい楽しくて時間を忘れた。
あの上司が不倫してんのかよ・・・などの話がウジャウジャ出てくるからw
まぁそれはさておき彼氏とのセックス事情。
優柔不断な彼氏はセックスでも男気は見せず、赤ちゃん言葉で甘えてきたりするらしい。
知らなかったけど七瀬はドMらしく、どう接して良いのか困るみたい。
甘えてくるだけじゃなくて、セックス中も受け身の彼氏。
そのせいで騎乗位がやたら得意になったとか言ってた。
こんな話聞いちゃってイイもんかねぇ~と思いつつも、興味津々で聞き入ってた。
この時分かった事、それは「七瀬はドM」「数年間セックスに不満を持ち続けてた」「貧乳にコンプレックスあり」「騎乗位が得意」「バイブ経験あり」という事。
1時過ぎになり、そろそろ七瀬が限界かなと思えてきた。
泥酔はしてないけど呂律が怪しくなり始めてたから。
「そろそろ帰ろうか」
そういう俺に「ヤダ!」と駄々をこねる。
美人のこういう仕草は反則的に可愛過ぎる。
「酔ってるでしょ?」
「酔ってません」
「立てないでしょ?」
「立てますけど?」
そう言って立ち上がったらフラついて壁に激突。
「そらみろ、またいつでも付き合うから今日は帰ろうね」
少し駄々をこねてたけど大人しく帰宅の途へついてくれた。
マンションの近くにあるコンビニで、飲み物とお菓子を買って行った。
部屋にあがるつもりは無かったから、玄関先で扉を押さえて七瀬を中に入れた。
「それじゃ俺はこれで」
そう言って帰ろうとしたら、七瀬が座ったまま顔を埋めて動かなくなった。
「大丈夫か?具合悪いのか?」
七瀬は頭を左右に振るだけで何も言わない。
このまま扉を持ったまま突っ立ってるわけにもいかず、中に入って七瀬を立たせた。

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