30分ぐらいして戻ってきたメグミは、完全に白けた顔をしててゾッとした。
申し訳ないとか、やっちまった！的な顔じゃないんだもん。
あぁ～あ、バレちゃったかぁ～的な逆ギレしてるような顔。
それを見て完全に終わったなと悟った。
最悪だったけど、心の何処かでまだ修復できるような気持ちもあった。
でもそれは瞬間的に消えていった。
あの時の感情は今でも時々思い出すね、嫌な感じで。
「あれってどういう事？」
「元カレ」
「全員？」
「同僚とか」
「は？」
「元カレも同僚だし」
「今でも？」
「うん、そう」
淡々と答えるメグミに、正直恐ろしさを感じた。
しかも聞けばちゃんと答えるんだもん。
いろいろ尋ねたけどあんまりおぼえてない。
だから記憶にある会話だけ書きます。
「いつから？」
「元カレと別れてから」
「俺と付き合う前から？」
「うん」
「同じ職場なのに？」
「てかもともとそういう付き合いだったし」
元カレと付き合う前に、既婚者の同僚不倫してたという。
中途採用で40代のオヤジ。
そのオヤジと不倫しつつ元カレと付き合い出し、別れる時にそれがバレる。
付き合ってる期間にも不倫継続してたようで、だったら一緒に楽しんじゃう？的なノリになったって言われた。
淡々と箇条書きみたいな感じの説明だったけどね。
3人でセックスを思う存分楽しもうよ的なノリ。
そこにもう一人の同僚も誘って男3人に。
理由はこの同僚がデカチンだったから。
「最近いつ会ったの？」
「先週」
「あの仕事が遅かった日？」
「うん」
「どこで？」
「一人暮らししてた部屋」
「まだ入れるの？」
「今月いっぱいね」
「もう別れるしか無いよね」
「そうかもね」
「かもねじゃねーだろ」
「だってイヤなんでしょ？」
「当たりめーだろーが」
「だったら仕方無いじゃん」
「何？その態度」
「だってもうどうしようもないでしょ」
最後の方はメグミが溜め息漏らしたりしてた。
手が出そうになるのを随分我慢した。
俺はスーツや下着をバッグに入れて実家に戻った。
次の日の昼、洋服などの荷物をダンボールで3箱だけ運んだ。
そして次の日の昼もまた荷物を運び出した。
最後は土曜日に俺の金で買った家具や家電も全て運び出した。
メグミはそこで生活した形跡が無かった。
風呂も使った形跡もなかったし。
多分元カレとかの家に転がり込んでたんじゃないかな。
泊まりに行くような親しい女友達とか聞いた事なかったし。
荷物を運び出して不動産屋に行き、いろいろモメたがその月で引っ越す事に。
それをメグミにメールで伝えて終了。
恐ろしい話、返信すらなかったからね。
鍵は不動産屋に返したらしく、会う事すらなかった。
新年を迎えて、改めてあの時保存した画像や動画を見た。
俺の前では「俺の為にやってる」っていう感じのセックスだった。
なのに元カレたちの前では、まさに野獣のようなセックスだった。
舌を出してキスを強請ったり、卑猥な淫語も連発してた。
恥ずかしいけど初めてメグミの口から「オマンコ」って聞いたのは動画だった。
知らなかったら多分あのまま暮らしてたと思う。
んでそのまま結婚しちゃってたかもしれない。
そう考えると全身の力が抜けるほどの安堵を感じる。
正直メグミには怒りしか感じてないので、そう落ち込まなかったかも。
ホントに女って怖い生き物ですね、良い勉強になりました。
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