スマホ表示での検索⇒ツイートしました

浮気目撃→ドア開けたら立ちバック中@2P

どのくらいだろう。
しばらくの間、2人はアパート入口の手前でベロチューを楽しんでいた。
偶然誰も通らなかったが、そんな周りなんて気にしない素振り。
男が彼女の背中やお尻をまさぐり、彼女も男の背中や股間をまさぐっていた。
股間を触られた男は少し腰を引き気味。
途中で「硬くなってる」なんて言葉を交わしたのか、笑みを浮かべながら彼女が男に喋りかけ、男も笑ってまたキス。
どう見ても恋人同士。

何度も何度も深呼吸をして落ち着かせようと努力したが無駄だった。
心臓はダッシュした後のようにバクバク。
手足が震え、足なんてアスファルトに貼り付いたような錯覚も感じた。
少し隠れてまた覗くと、ちょうどキスが終わったところだった。
男の手を引き、彼女自らが部屋へと誘い込もうとしている。
男はなぜか渋っていて、なかなか中へと進まない。
渋っている理由は分からないが、彼女が誘っているのだけは確かだった。

渋っていた男が手を引かれてアパートへと入っていった。
2階の奥にある部屋へと入る2人。
俺はその2人をコソコソと隠れながら見守っていた。
玄関の扉が開き、先に入った彼女が振り返り、男に抱き着きキスをしながら扉が締まったいくのを見て、もう心は真っ白になった。

どのくらいそこにいたのか、車が来てやっと我に返った。
一体俺は何をしているんだろう。
何のためにここに来たのか。
なぜ彼女と付き合っていたのか。
混乱の後には虚しさが込み上げてきた。
そして知らないうちにその場から離れていた俺は、近くの公園にいた。

ベンチに腰掛けただただジッとしていた。
するとそこに警察官の登場。
職質というか「大丈夫?」というニュアンス。
身分証などを見せ、大丈夫だと伝えて駅へと歩いた。
「ホントに?顔色すごく悪いよ?病院行く?」
そう言われたぐらいヤバい顔をしていたっぽい。

また満喫へと戻った。
慌てて出ていった客がまた戻ってきたんだから、店員は不思議に思ったろうな。
しかも酷い顔をして戻ってきたんだからね。
その時はそんな事も頭に浮かばず、個室に入るなり床に座り込んだ。
自然と涙も溢れ、嗚咽を堪えながら泣いた。
しばらくすると店員に注意されたので仕方なく満喫を後にした。
もう踏んだり蹴ったり。

電車もない、家には見知らぬ男がいる、さてどうするか。
トボトボ歩きながらアレコレ考えていると、猛烈な怒りを感じ始めた。
なんでこんな寒い中を俺は彷徨っているのか。
家賃の全額は俺が払っているんだ。
そこに彼女は男を連れ込んでいる。
俺はそれを知っている状態で、寒空の中歩き回っている。

ふざけるな!
2人を追い出してやる!
そう思い始めると体中にムキムキと力が込み上げてきた。
俺の家だ!俺が我慢する必要なんてないんだ!
今まで感じたことのないほどの怒りを感じながら歩いた。
基本的に俺は穏やかで、年に数回も怒りを露わにする事なんてない性格。
だからこの時の怒りは人生の中で恐らくTOP3に入るレベルだった。

そして遂にアパート前に到着。
窓からは明かりが漏れていた・・・まだいる・・・。
何度も何度も深呼吸をして落ち着くよう努力した。
いざ出陣じゃ!

歩き慣れた階段を駆け上がり、廊下をさっそうと抜けた。
ドアの前に来た時、中から声が聞こえてきた。
声というか・・・・完璧に喘ぎ声である。
聞き慣れた彼女の喘ぎ声が小さくだったけど漏れ出ていた。

ふざけんな!
怒りはMAXに到達。
握り締めていた鍵をドアノブに差し込み、開けた瞬間勢い良くドアを引いた。
玄関の扉が全開のその先で、全裸の彼女が立ちバックをしていた。
口を手で押さえながら驚いた顔でこっちを見ていた。
男も彼女の腰を掴みながら、驚愕の表情でこっちを見ていた。
まさか目の前で立ちバックなんてしてるとは俺も思っていない。
だから俺も多分凄い顔をしていたと思う。

2~3秒後、先に動いたのは彼女だった。
小さな悲鳴の後、全裸で奥の部屋へと走って逃げていった。
取り残された男もまた、2呼吸ほど後に小走りで奥へと消えていった。
最後に俺だけが玄関に取り残された。

それからは記憶が飛び飛び。
気が付いた時には駅前のベンチに腰掛けていた。
そこでまた先ほど声を掛けてきた警察官に声を掛けられた。
「さっきの人だよね?大丈夫?」
その言葉に答えようとしながら、俺は失神していったみたい。
呼びかけで覚醒したが、そのまま救急車で運ばれてしまった。
そして次の日の昼まで入院させられた。
その日の夕方、転勤先の我が家へと辿り着いた。

立ちバックを目撃してから、彼女からは全く連絡が無かった。
俺もしなかった。
年末年始も連絡はなかった。
だから1月の中旬に有給をもらい、平日にアパートへと戻ってみた。
もぬけの殻だった。
俺の荷物はあったが、家電やベッドなどの家具は一切なかった。
部屋の真ん中に鍵が2つ置いてあっただけ。

近所のスーパーでもらったダンボールに荷物を詰め、転勤先へと送った。
送れるぐらいしか荷物が無かった。
その足で契約した駅前の不動産屋へ行って、事情を軽く説明して解約をした。
不動産屋のオヤジが聞いた話だと、彼女は正月中に引っ越していったらしい。
隣近所の人達が数人目撃していたとか。

彼女の友達とか知り合いを全く知らない。
あの後どうなったのか、彼女が何を考えたのかすら知らない。
仕事は続けてるだろうけど、わざわざその職場へ行く理由もない。
彼女との数年間は一体何だったのかと、今でも時々猛烈な虚しさを感じてしまう。
結婚を考えていた彼女の立ちバックを目撃した衝撃。
恐らくこれから先、頭から消え去る事は無いと思う。

タイトルとURLをコピーしました