別に好きだったわけじゃないんだけど、妙に寂しい気分になった。
だから話をそらそうと、「彼氏は?」って聞いたら「いるよ」と即答。
そこから彼氏の聞きたくもないノロケ話を聞くハメになっていった。
彼氏はなんと10才も年上の同僚?上司?らしく、そろそろ結婚も考えていると言う。
「ケンジ君は?」
「俺は大学卒業する時に別れてずっと1人だよ」
「マジでぇ?モテそうなのにね」
「それはないだろwモテる要素まるで無しだからな」
「そんな事無いよ、優しいじゃん。友達心配してこうやって来てるしさ」
「あぁ~そう?別に普通だと思うけど」
「そういう優しさがイイんだよ」
疲れたから休みに来たのに、勘違いしてくれてるらしい。
これはもしかして・・と思い始めたのに、そこへ隣で騒いでた男友達が登場した。
「大丈夫ぅ~?」とニヤニヤしながら入ってきたので、俺達が何かしてないか探りに来たんだと思う。
こいつはデリカシーの無いヤツなので、入ってきて早々ユキに下ネタを連発してた。
それを笑いながらさらりと交わすユキを見て、会社でもそうやってオヤジ達を相手にしてるんだろうなって思えた。
ある程度は踏み込めるけど、最後の一線だけは越えさせない雰囲気もある。
攻め兼ねた友人はソソクサと退散。
「なんで男って下ネタばっかり言うんだろうね」
「まぁ~俺も言うしなw」
「えぇ~~ショックだなぁー」
「おいおい普通だろそんなの。彼氏は言わないのか?」
「・・・言うw」
「だろw言わなかったら逆に心配じゃね?ホモだったりするかもよ?」
そこから彼氏との話題が深くなり、夜の営みの話になっていった。
なかなか照れてなのか言わなかったけど、実はもう既に月1回あればイイ方なんだとか。
「彼の仕事も忙しいし、週末は接待ゴルフ多いしね」
「それはちょっと寂しいなぁ~まぁ呑みなさい呑みなさい」
呑ませて喋らそうと思ってたけど、どうにもやっぱり口が重いんです。
ベラベラと下ネタを喋るようなタイプではないらしく、見た目の色気とは違ってガードも硬い気がしてきました。
これは期待してたような展開は無いなと諦めつつ、軽い下ネタを俺が言いながら喋ってました。
ふと時間が気になり時計を見ると3時をまわっています。
「そろそろお開きにする?」
「そうだね、タクシー呼ぼうか」
「じゃ隣に行ってくるわ」
ユキは寝ている女友達の方に行き、俺は隣で歌ってた友人のとこに行きました。
歌っている声が聞こえなかったので「あれれ?」と思いドアを開けると、そこには誰もいません。
即効で携帯に電話をしましたが電話に出ない友人。
急いで戻ってユキにそれを伝え、フロントに行ってみると「30分ほど前に2人で出て行きましたよ」と言われました。
どうやら2人が抜け駆けしたようなんです。
仕方なく酔い潰れた3人をユキと送る事にしました。
すぐ近くに住む男友達1人をまず俺が送り、戻ってきて4人でタクシーに乗り込みました。
まず女の子を送り、次に男友達、そしてユキを送り俺は1人で帰る予定です。
無事に女を送り男友達を家に運んでいた時、最悪な事件が起きました。
エレベーター内でゲロったんです。
左側で支える俺を避けるかのように、右側にいたユキ方向へ思いっ切り噴射。
慌てたせいでゲロま巻き散らかしちゃうし、ユキに結構かかってしまいました。
メシ中の方、申し訳ないw
待たせてるタクシーを帰し、1階にあった掃除用具で軽く掃除です。
ユキは水道で洗い流してましたが、かなり悲惨な状態でした。
起きてた弟に事情を説明し、エレベーターの件を伝えて帰りました。
もう駅前でもないのでタクシーなんているわけもない住宅街です。
しかもユキはかなり濡れてて相当寒い状況、しかもしかもゲロのニオイで俺まで意気消沈。
とりあえず国道まで・・・と歩いていましたが、まず俺が限界になり公園でダウン。
ユキもあのニオイで相当キテたらしく、一緒にダウンしてしまいました。
コレはヤバいよな・・とお互いに末期状態です。
ユキは寒いし気持ち悪いと言うし、俺も他人の介抱なんて出来る余裕もない。
どうしようとアレコレ考えていた俺は、すぐ近くにあるラブホテルを思い出しました。
高校の時に数回お世話になったホテルです。
すっごい汚くて、昔はお化けが出るとか言われてたホテル。
今でもあるのか分かりませんでしたが、そこを目指す事をユキに伝えました。
嫌だとかも言えないユキに肩を貸し、100Mほど歩きました。
うっそうと茂る雑木林の横を過ぎると、薄暗いネオンの看板が見えてきました。
「あったぁ・・・」
思わず嬉しさと安堵で声に出ちゃいました。
昔よりもっと汚く感じる部屋に入り、即ユキはトイレに駆け込みました。
俺はゴミ箱を横に置いてベッドでひたすら修行の時間。
何度も流す音が聞こえ、出てきたかと思ったらまた戻るユキ。
知らぬ間に寝てたらしく、気が付いた時にはユキはお風呂にいました。
もともと泥酔してたわけじゃない俺は、すっかり元気に復活してました。
「風呂入ってるの?」
「ちがうよー服洗ってるの」
ドアの外から声を掛け安心してドアを開けると、ユキは備え付けの寝巻に着替えていました。
網タイからスカート、シャツを手洗いしてたようです。
若干ゲロの残り臭がありましたが、ユキも復活してるらしく元気になってました。
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